WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)で子どもの何が分かるのか?


【WISC-V(ウィスク5)検査の聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)とは】

WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children, Fifth Edition)は、6歳から16歳の子どもの知能を評価するための標準化された検査です。

その中で、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI: Auditory Working Memory Index)は、子どもの聴覚情報を短期間保持し、操作する能力を評価する補助指標です。

この指標は、特に言語的な情報の処理と短期的な保持、操作能力に焦点を当てています。


【聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の構成要素】

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、以下の下位検査によって構成されています。

①数唱(Digit Span)

子どもに一連の数字を順番に復唱させ、その後逆順に復唱させる課題です。
これは、短期記憶と作業記憶の両方を評価します。


②算数(Arithmetic)

口頭で提示される算数の問題に対して、子どもが暗算で答える課題です。
これは、数的処理能力と作業記憶を評価します。


【聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)から分かること】

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点を分析することで、以下のような子どもの特性や能力について理解することができます。


①聴覚的な短期記憶

数唱の検査で高得点を取る子どもは、聴覚的な情報を短期間保持し、それを正確に復唱する能力が高いことを示します。

例えば、複数の数字を順番に正確に復唱できる場合、その子どもは聴覚的な短期記憶能力が優れていると言えます。

聴覚的な短期記憶は、日常生活や学業において指示を理解し、記憶する際に重要です。


②作業記憶の評価

数唱の検査で高得点を取る子どもは、聴覚的な情報を保持しながら、それを操作する能力が高いことを示します。
例えば、与えられた数字を逆順に復唱できる場合、その子どもは作業記憶能力が高いことが分かります。
作業記憶は、問題解決や計画、複雑な指示に従う際に重要です。


③数的処理能力とワーキングメモリ

算数の検査で高得点を取る子どもは、聴覚的に提示された数的情報を保持し、それを使って計算を行う能力が高いことを示します。
これは、数的処理能力と作業記憶の両方を反映しています。
数的処理能力は、数学の学習や日常生活における計算や数的判断において重要です。


【聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の重要性】

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の評価は、子どもの学業成績や将来の学習能力に重要な影響を与える可能性があります。

特に以下の点で重要です。


①学校の学習支援

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点は、教育者や親が子どもの強みと弱みを理解し、個別の学習支援計画を立てるのに役立ちます。

聴覚的な作業記憶に課題がある子どもには、これらの能力を強化するための特別な教育プログラムが必要です。

聴覚的な作業記憶が低い子どもには、視覚的な補助具(図やフラッシュカード)や、指示を分解して段階的に教える方法が効果的です。


②学業成績の予測

高い聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点は、全体的な学業成績の向上に寄与する可能性が高いです。

特に、言語的な情報の処理が重要な教科(例えば、国語や社会)での成績向上が期待されます。

語学の授業で聞いた情報を正確に保持し、それを使って質問に答える能力が向上します。


③日常生活と将来の職業スキル

聴覚的な作業記憶は、日常生活の多くの場面で必要とされます。

例えば、複雑な指示を理解し、実行する能力や、複数のタスクを同時に管理する能力です。

また、将来の職業においても、聴覚的な情報を迅速に処理し、正確に操作する能力が求められます。

高い聴覚的な作業記憶能力を持つ子どもは、医師、弁護士、教師など、複雑な情報を正確に処理し、意思決定を行う職業において成功する可能性が高いです。


【実際のケーススタディ】

ケース1

小学生のK君は、授業中に教師の指示を覚えるのが難しく、課題を正しく遂行するのに苦労していました。

WISC-V(ウィスク5)検査を実施した結果、聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)が低いことが判明しました。

そこで、学校ではK君に対して視覚的な補助具を使った指導と、指示を分解して段階的に教える方法を取り入れました。

その結果、K君の授業中のパフォーマンスが向上し、課題を正しく遂行できるようになりました。


ケース2

中学生のLさんは、語学の授業で優れた成績を収めていましたが、他の教科では課題を感じていました。

WISC-V(ウィスク5)検査の聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)を確認したところ、非常に高いスコアを持っていることが分かりました。

Lさんには、さらに言語的な情報処理を強化するための特別なプロジェクトや課題を提供しました。

その結果、Lさんの語学力がさらに向上し、他の教科でも自信を持って学習に取り組むようになりました。


【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査における聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)についてのまとめ】

WISC-V(ウィスク5)検査の聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、子どもの聴覚情報を短期間保持し、操作する能力を評価する重要なツールです。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)の指標得点を通じて、子どもの聴覚的な短期記憶、作業記憶、数的処理能力についての理解を深めることができます。

これにより、教育者や親は、子どもの強みと弱みを理解し、適切な学習支援を提供するための具体的なプランを立てることが可能です。

聴覚ワーキングメモリ指標(AWMI)は、学業成績の向上、日常生活のスキル向上、将来の職業適性において重要な役割を果たします。



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発達障害ラボ【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査で子どもの課題やトラブルを明らかにし、その課題を解決しよう!】

発達障害ラボは、発達障がいや学習障がい等を抱える方のため、その支援者のために設立されました。 支援内容は、 ・WISC-Ⅴ検査の研修会の実施 ・WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の実施 ・WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の実施 ・オンラインでのWISC-Ⅴ(ウィスク5)検査結果の解説 ・オンラインカウンセリング(Zoom) ・WISC-Ⅴ検査 事例研究会(勉強会) などです。

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