WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である、量的推理指標(QRI)で子どもの何が分かるのか?


【WISC-V検査の量的推理指標(QRI)とは】

WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children, Fifth Edition)は、
子どもの知能を評価するための標準化された検査です。

その中で、量的推理指標(QRI: Quantitative Reasoning Index)は、
子どもの数的および数学的推論能力を評価する補助指標です。

この指標は、子どもが数量的情報を理解し、それを使って問題を解決する能力を測定します。


【量的推理指標(QRI)の構成要素】

量的推理指標(QRI)は、以下の下位検査によって構成されています。

①算数(Arithmetic)
口頭で提示される算数の問題に対して、子どもが暗算で答える課題です。
これは、数的処理能力と作業記憶を評価します。

②バランス(Figure Weights)
図形の天秤におけるバランス問題を解決する課題です。
子どもは、与えられた図形や重りを見て、天秤を均等にするために必要な重りの組み合わせを選びます。
これは、数的推論と問題解決能力を評価します。


【量的推理指標(QRI)から分かること】

量的推理指標(QRI)の指標得点を分析することで、以下のような子どもの特性や能力について理解することができます。

①数的推論能力

算数の検査で高得点を取る子どもは、口頭で提示される数的問題を迅速かつ正確に解決する能力が高いことを示します。

例えば、暗算で複雑な算数の問題を正確に解答できる場合、その子どもは数的推論能力が優れていると言えます。

この能力は、日常生活や学業において数的な情報を処理する際に重要です。


②問題解決能力

バランスの検査で高得点を取る子どもは、視覚的な情報を基に論理的に考え、問題を解決する能力が高いことを示します。

例えば、天秤のバランスを取るために必要な重りの組み合わせを正確に選ぶ能力は、論理的な推論力と問題解決能力を反映しています。

問題解決能力は、学業のみならず、日常生活や将来の職業においても非常に重要なスキルです。


③数学的な思考力

高い量的推理指標(QRI)の指標得点を持つ子どもは、数学的な概念を理解し、それを基に新しい問題に適応する能力が高いことを示します。

これは、数学の授業や数学に関連する科目での成績向上に直結します。

数学的思考力は、エンジニアリングや科学、経済学などの分野で特に重要です。


【量的推理指標(QRI)の重要性】

量的推理指標(QRI)の評価は、子どもの学業成績や将来の学習能力に重要な影響を与える可能性があります。

特に以下の点で重要です。

①学校の学習支援

量的推理指標(QRI)の指標得点は、教育者や親が子どもの強みと弱みを理解し、個別の学習支援計画を立てるのに役立ちます。

数的推理能力が低い子どもには、基本的な算数の概念を強化するための特別な教育プログラムが必要です。

数的推理能力が低い子どもには、視覚的な補助具(図やフラッシュカード)や、ステップバイステップの問題解決方法を教えることが効果的です。


②学業成績の予測

高い量的推理指標(QRI)の指標得点は、全体的な学業成績の向上に寄与する可能性が高いです。

特に、数学や科学、経済などの数的情報を扱う教科での成績向上が期待されます。

数学の授業で抽象的な概念を理解し、複雑な問題を解決する能力が向上します。


③日常生活と将来の職業スキル

数的推理能力は、日常生活の多くの場面で必要とされます。

例えば、予算管理、料理のレシピ計算、スポーツ戦略の考案などです。

また、将来の職業においても、数的情報を迅速に処理し、正確に解釈する能力が求められます。

高い数的推理能力を持つ子どもは、データ分析、財務管理、エンジニアリングなどの職業において成功する可能性が高いです。


【実際のケーススタディ】

ケース1

小学生のI君は、学校での成績が振るわず、特に数学に対する苦手意識が強かった。

WISC-V(ウィスク5)検査を実施した結果、量的推理指標(QRI)が低いことが判明しました。

そこで、学校ではI君に対して個別指導を行い、視覚的な補助具を使った学習方法を取り入れました。

その結果、I君の数学に対する理解が深まり、学業成績も徐々に向上しました。


ケース2

中学生のJさんは、数学や科学の授業で優れた成績を収めていました。

WISC-V(ウィスク5)検査の量的推理指標(QRI)を確認したところ、非常に高いスコアを持っていることが分かりました。

Jさんには、さらに難易度の高い課題や問題解決の機会を提供し、才能を伸ばすための特別なプログラムに参加させました。

その結果、Jさんは数学オリンピックで入賞するなど、さらに大きな成果を上げました。



【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の量的推理指標(QRI)のまとめ】

WISC-V(ウィスク5)検査の量的推理指標(QRI)は、子どもの数的および数学的推論能力を評価する重要なツールです。

量的推理指標(QRI)の指標得点を通じて、子どもの数的推論能力、問題解決能力、数学的思考力についての理解を深めることができます。

これにより、教育者や親は、子どもの強みと弱みを理解し、適切な学習支援を提供するための具体的なプランを立てることが可能です。

量的推理指標(QRI)は、学業成績の向上、日常生活のスキル向上、将来の職業適性において重要な役割を果たします。



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発達障害ラボ【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査で子どもの課題やトラブルを明らかにし、その課題を解決しよう!】

発達障害ラボは、発達障がいや学習障がい等を抱える方のため、その支援者のために設立されました。 支援内容は、 ・WISC-Ⅴ検査の研修会の実施 ・WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の実施 ・WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の実施 ・オンラインでのWISC-Ⅴ(ウィスク5)検査結果の解説 ・オンラインカウンセリング(Zoom) ・WISC-Ⅴ検査 事例研究会(勉強会) などです。

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