WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の言語理解指標(VCI)から何が分かるのか?

【WISC-V(ウィスク5)検査の言語理解指標(VCI)とは…】

WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children, Fifth Edition)は、5歳0ヶ月から16歳11ヶ月の子どもの認知能力を評価するための知能検査です。

この検査は、
・言語理解指標(VCI)
・視空間指標(VSI)
・流動性推理指標(FRI)
・ワーキングメモリ指標(WMI)
・処理速度指標(PSI)
の5つの主要な指標から構成されています。

その中でも、言語理解指標(VCI: Verbal Comprehension Index)は、子どもの言語能力や概念理解能力を評価するための重要な指標です。


【言語理解指標(VCI)の構成】

言語理解指標(VCI)は、主に以下の下位検査から構成されています。

 1. 語彙(Vocabulary):
 • 子どもに言葉の意味を説明させることで、その言語知識と表現力を評価します。

 2. 類似(Similarities):
 • 2つの単語がどう似ているかを説明させることで、抽象的思考能力と概念形成能力を評価します。

 3. 理解(Comprehension):
 • 社会的状況や常識に関する質問に答えさせることで、実用的な知識と社会的判断力を評価します。

これらの下位検査を通じて、言語理解指標(VCI)は子どもの言語能力、言語的な推論、概念形成能力を総合的に評価します。


【言語理解指標(VCI)から分かること】

言語理解指標(VCI)の指標得点を分析することで、以下のような子どもの特性や能力について理解することができます。

1. 言語知識と語彙力

具体例:
 • 語彙テストで高得点を取る子どもは、広範な語彙を持ち、それらの言葉を適切に使用する能力があることを示します。
・例えば、子どもが「水溜りは何ですか?」という質問に「地面に水がたまった小さな池」と説明できれば、高い語彙力が示されます。

2. 抽象的思考と概念形成能力
具体例:
 • 類似テストで高得点を取る子どもは、抽象的な概念を理解し、異なる対象の共通点を見つける能力が高いことを示します。
・例えば、「犬と猫の共通点は何ですか?」という質問に対して「どちらも哺乳類で、ペットとして飼われる動物です」と答えられる場合、抽象的思考能力が高いことが分かります。

3. 社会的理解と実用的知識
具体例:
 • 理解テストで高得点を取る子どもは、社会的状況や日常生活に関する知識を持ち、適切な判断ができることを示します。
・例えば、「なぜ信号機が必要ですか?」という質問に対して「交通を安全に制御するためです」と答えられる場合、社会的判断力が高いことが分かります。


【言語理解指標(VCI)の重要性】

言語理解指標(VCI)の評価は、子どもの学業成績や将来の学習能力に重要な影響を与える可能性があります。

特に、以下の点で重要です。


1. 学校の学習支援

言語理解指標(VCI)の指標得点は、学校での学習支援や特別支援教育の計画に役立ちます。

言語能力が高い子どもには、より高度な学習機会を提供する一方で、低い子どもには言語発達を支援するプログラムを提供することが考えられます。


2. 学業成績の予測

言語理解指標(VCI)の高い指標得点は、読解力や作文能力の高さと関連しており、これらのスキルはほとんどの教科で必要とされるため、全体的な学業成績の向上に寄与します。


3. コミュニケーション能力

言語理解指標(VCI)の評価を通じて、子どものコミュニケーション能力を理解することができ、対人関係の改善や社会的スキルの発達に役立ちます。


【実際のケーススタディ】

ケース1:
ある小学生のA君は、学校での成績が振るわず、特に国語の授業で困難を感じていました。

WISC-V検査を実施した結果、言語理解指標(VCI)が低いことが判明しました。

詳細な分析により、A君は語彙力が不足しており、抽象的な概念を理解するのが難しいことが分かりました。

そこで、学校では個別の語彙強化プログラムと読解力を高めるための特別支援が提供されました。

その結果、A君の国語の成績は徐々に向上し、自己肯定感も高まりました。


ケース2:
中学生のBさんは、数学や理科の成績は優秀でしたが、作文やプレゼンテーションで苦労していました。

WISC-V(ウィスク5)検査の言語理解指標(VCI)を確認したところ、語彙や社会的理解は十分でしたが、抽象的思考に課題があることが分かりました。

そこで、Bさんには抽象的概念を扱う演習やディスカッションを多く取り入れた授業が提案され、少しずつ自信を持ってプレゼンテーションに取り組めるようになりました。


【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の言語理解指標(VCI)についてのまとめ】

WISC-V(ウィスク5)検査の言語理解指標(VCI)は、子どもの言語能力、抽象的思考、社会的理解を評価するための重要なツールです。

言語理解指標(VCI)の指標得点を通じて、子どもの強みや弱みを詳細に理解し、適切な学習支援や発達支援を提供することができます。

これにより、子どもたちは自己肯定感を高め、学業や日常生活において成功を収める可能性が高まります。

言語理解指標(VCI)は、教育現場や家庭における子どもの発達支援に不可欠な指標として活用されています。

発達障害ラボ【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査で子どもの課題やトラブルを明らかにし、その課題を解決しよう!】

発達障害ラボは、発達障がいや学習障がい等を抱える方のため、その支援者のために設立されました。 支援内容は、 ・WISC-Ⅴ検査の研修会の実施 ・WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の実施 ・WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の実施 ・オンラインでのWISC-Ⅴ(ウィスク5)検査結果の解説 ・オンラインカウンセリング(Zoom) ・WISC-Ⅴ検査 事例研究会(勉強会) などです。

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