WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の主要指標である流動性推理指標(FRI)から何が分かるのか?

【WISC-V(ウィスク5)検査の流動性推理指標(FRI)とは…】

WISC-V(Wechsler Intelligence Scale for Children, Fifth Edition)は、5歳0ヶ月から16歳11ヶ月の子どもの知能を評価するための標準化された検査で、その中でも流動性推理指標(FRI: Fluid Reasoning Index)は、子どもの抽象的思考能力や論理的推理能力を評価します。

流動性推理指標(FRI)は、特に新しい状況や問題に適応する能力を測定するため、学習や生活における問題解決スキルを理解するのに役立ちます。


【流動性推理指標(FRI)の構成要素】

流動性推理指標(FRI)は、以下の下位検査によって構成されています。

 1. 行列推理(Matrix Reasoning):
 • 子どもに一連の図形を提示し、パターンの中で欠けている部分を選ばせる課題です。
これは、視覚的・抽象的なパターン認識能力を評価します。

 2. バランス(Figure Weights):
 • 子どもに釣り合う組み合わせを選ばせる課題です。
これは、定量的な推理と問題解決能力を評価します。


これらの下位検査は、子どもの流動的知能、すなわち新しい情報を理解し、適応する能力を評価するのに役立ちます。


【流動性推理指標(FRI)から分かること】

流動性推理指標(FRI)の指標得点は、子どもの抽象的思考能力、問題解決スキル、論理的推論能力についての洞察を提供します。

以下に、具体的にどのようなことが分かるかを説明します。

1. 抽象的思考能力
具体例:
 • 行列推理の下位検査で高得点を取る子どもは、視覚的なパターンを認識し、それを基に抽象的な概念を形成する能力が高いことが示されます。例えば、子どもが一連の図形の中で欠けている部分を迅速かつ正確に特定できる場合、その子どもは抽象的思考能力が優れていると言えます。

 • 抽象的思考は、数学的推論や科学的探究など、学問的な分野において重要なスキルです。


2. 論理的推理能力
具体例:
 • バランスのかいで高得点を取る子どもは、論理的に推論し、定量的な関係を理解する能力が高いことが示されます。例えば、子どもが天秤に乗せる適切な重りを選び、左右のバランスを取る課題を正確に解決できる場合、その子どもは論理的推理能力が高いことが分かります。

 • この能力は、将来のエンジニアリングや経済学など、定量的な分析を必要とする分野において重要です。


3. 問題解決能力と適応力
具体例:
 •高い 流動性推理指標(FRI)の評価点を持つ子どもは、新しい問題や未知の状況に対処する際に有利です。彼らは複雑な問題を論理的に分析し、最適な解決策を見つける能力があります。

 • 学校生活においても、複雑な課題やプロジェクトを効率的に進めることができ、チームでの協働作業にも適応しやすいです。


【流動性推理指標(FRI)の重要性】

流動性推理指標(FRI)の評価は、子どもの学業成績や将来の学習能力に重要な影響を与える可能性があります。

特に以下の点で重要です。

1. 学校の学習支援
流動性推理指標(FRI)の指標得点は、教育者や親が子どもの強みと弱みを理解し、個別の学習支援計画を立てるのに役立ちます。

流動性推理能力が高い子どもには、より複雑な問題解決の機会を提供する一方、低い子どもには基本的な論理的推論能力を強化するプログラムを提供することが考えられます。

具体例:
 • 流動性推理能力が低い子どもには、具体的な手順を分かりやすく教え、段階的に問題解決のスキルを向上させるアプローチが有効です。


2. 学業成績の予測
高い流動性推理指標(FRI)の指標得点は、数学や科学などの分野で優れた成績を収める可能性を示唆します。

これらのスキルは、問題解決や論理的思考を必要とする教科で特に重要です。

具体例:
 • 例えば、数学の授業において抽象的な概念を理解し、複雑な問題を解決する能力が高いことが予測されます。


3. 将来の職業適性
流動性推理指標(FRI)の指標得点は、子どもの将来の職業適性に関する重要な情報を提供します。

抽象的思考や論理的推論能力が高い子どもは、エンジニア、科学者、プログラマー、アナリストなどの職業に適性がある可能性が高いです。

具体例:
 • 例えば、データ分析やシステム設計、研究開発などの分野で成功する可能性が高いことが示されます。


【実際のケーススタディ】

ケース1:
ある小学生のC君は、学校での成績が優秀で、特に数学に強い興味を持っていました。

WISC-V(ウィスク5)検査を実施した結果、流動性推理指標(FRI)が非常に高いことが判明しました。

詳細な分析により、C君は複雑な数学的概念を迅速に理解し、抽象的な問題を解決する能力が高いことが分かりました。

そこで、学校ではC君に高度な数学の問題や論理パズルを提供し、さらに才能を伸ばすための特別なプログラムに参加させました。

その結果、C君は数学オリンピックで入賞するなど、さらに大きな成果を上げました。


ケース2:
中学生のDさんは、理科の授業で特に高い成績を収めていましたが、他の教科ではやや苦手な部分がありました。

WISC-V(ウィスク5)検査の流動性推理指標(FRI)を確認したところ、流動性推理能力が非常に高いことが分かりました。

Dさんは科学的な問題を解決する際に論理的なアプローチを取る能力が優れていることが判明しました。

学校では、Dさんに科学クラブへの参加を促し、さらに実験や研究の機会を提供しました。

これにより、Dさんの理科への興味がさらに深まり、学業全般にも良い影響を与えました。


【流動性推理指標(FRI)についてのまとめ】

WISC-V検査の流動性推理指標(FRI)は、子どもの抽象的思考能力、論理的推論能力、問題解決スキルを評価する重要なツールです。

FRIのスコアを通じて、子どもの強みと弱みを理解し、適切な学習支援や将来の職業適性に関するアドバイスを提供することができます。

教育者や親は、FRIの評価を基に、子どもの成長と発達を効果的にサポートするための具体的なプランを立てることが重要です。

これにより、子どもたちは自己肯定感を高め、学業や将来のキャリアにおいて成功を収める可能性が高まります。

発達障害ラボ【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査で子どもの課題やトラブルを明らかにし、その課題を解決しよう!】

発達障害ラボは、発達障がいや学習障がい等を抱える方のため、その支援者のために設立されました。 支援内容は、 ・WISC-Ⅴ検査の研修会の実施 ・WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の実施 ・WAIS-Ⅳ(ウェイス4)検査の実施 ・オンラインでのWISC-Ⅴ(ウィスク5)検査結果の解説 ・オンラインカウンセリング(Zoom) ・WISC-Ⅴ検査 事例研究会(勉強会) などです。

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