WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である認知熟達度指標(CPI)とは…


【WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である認知熟達度指標(CPI)とは…】

認知熟達度指標(Cognitive Proficiency Index, CPI)は、WISC-Ⅴ(Wechsler Intelligence Scale for Children - Fifth Edition)の補助指標の一つです。

認知熟達度指標(CPI)は、子どもの処理速度とワーキングメモリの能力を評価します。

これらの能力は、学業成績や日常生活における効率性に直結するため、非常に重要です。



《認知熟達度指標(CPI)の構成要素》

認知熟達度指標(CPI)は以下のサブテストで構成されています。


1. 符号(Coding):

内容:子どもは指定された時間内に、対応する記号を正しい場所に記入します。

評価項目:視覚的な認識、運動スキル、視覚的なスキャン能力、持続的な注意力を測定します。


2. 記号探し(Symbol Search):

内容:子どもは一連の記号を見て、指定された記号が含まれているかを特定します。

評価項目:視覚的なスキャン能力、情報処理速度、正確さを測定します。


3. 数唱(Digit Span):

内容:子どもは一連の数字を指示された順序で繰り返します。

評価項目:短期記憶、聴覚的な情報の保持と操作能力を評価します。


4. 絵のスパン(Letter-Picture Span):

内容:子どもは一連の絵を提示され、それを記憶します。

評価項目:聴覚的な情報の操作能力、注意力、短期記憶を評価します。



《認知熟達度指標(CPI)の読み取り方》

認知熟達度指標(CPI)の結果を正確に読み取ることで、子どもの処理速度とワーキングメモリの強みと課題を明らかにし、適切な教育的支援を提供するための重要な手がかりを得ることができます。

以下に、認知熟達度指標(CPI)の結果を読み取る際のポイントを説明します。


1. 指標得点の確認

認知熟達度指標(CPI)の合成得点は、子どもの処理速度とワーキングメモリの全体的な評価を示します。

この得点は、標準得点として提供され、平均を100とし、標準偏差を15とします。

例えば、認知熟達度指標(CPI)の指標得点が115であれば、子どもの処理速度とワーキングメモリ能力は平均よりも高いことを示しています。


2. 下位検査の得点分析

認知熟達度指標(CPI)を構成する各下位検査(符号、記号探し、数唱、絵のスパン)の得点を個別に分析することが重要です。

これにより、特定の分野での強みや弱みを特定できます。


符号の得点:子どもの視覚的な認識、運動スキル、視覚的なスキャン能力、持続的な注意力を示します。高得点の場合、子どもは視覚的な情報を迅速かつ正確に処理する能力に優れていることを示します。


記号探しの得点:子どもの視覚的なスキャン能力、情報処理速度、正確さを示します。高得点の場合、子どもは視覚的な情報を迅速かつ正確に特定する能力に優れています。


数字の逆唱の得点:子どもの短期記憶と聴覚的な情報の保持と操作能力を示します。高得点の場合、子どもは聴覚的な情報を迅速かつ正確に操作する能力に優れています。


3. 得点のバランス確認

認知熟達度指標(CPI)の各下位検査間の得点バランスを確認することも重要です。

例えば、符号の得点が非常に高く、記号探しの得点が低い場合、子どもは視覚的な認識能力には優れているが、視覚的なスキャン能力に課題がある可能性があります。

この情報は、教育プランを策定する際に非常に有益です。


4. 発達的な考慮

子どもの年齢や学年に応じた発達的な考慮も重要です。認知熟達度指標(CPI)の得点を同年齢の子どもと比較することで、発達の進行状況を評価できます。

例えば、10歳の子どもの認知熟達度指標(CPI)が平均を大きく上回っている場合、その子どもは処理速度とワーキングメモリ能力に優れている可能性が高いです。


5. 他の指標との比較

認知熟達度指標(CPI)を他の主要指標(例:一般知的能力指標(GAI)、言語理解指標(VCI)など)と比較することで、子どもの全体的な知能プロフィールを把握できます。

例えば、認知熟達度指標(CPI)が非常に高く、言語理解指標(VCI)が低い場合、子どもは処理速度とワーキングメモリ能力には優れているが、言語的な理解や表現に課題がある可能性があります。



認知熟達度指標(CPI)の実践的な応用

認知熟達度指標(CPI)の結果を基に、子どもに適切な教育プランや支援を提供することが重要です。以下に具体的な応用例を紹介します。


1. 教育プランの策定

認知熟達度指標(CPI)の得点が高い子どもには、より高度な課題やプログラムを提供することで、能力を伸ばすことができます。例えば、高度な数学の課題や科学実験プロジェクトを推奨します。


2. 個別指導の実施

認知熟達度指標(CPI)の得点が低い子どもには、個別のトレーニングを行うことで処理速度とワーキングメモリを強化することが重要です。

具体的には、基礎的な計算練習や記憶ゲーム、視覚的なパズルを使ったトレーニングを行います。


3. 家庭でのサポート

家庭でも、認知熟達度指標(CPI)の結果を参考にして処理速度とワーキングメモリを伸ばす活動を取り入れることができます。

例えば、タイピング練習やリズムゲーム、日常生活の中でのメモリゲームを通じて、楽しく学ぶ環境を整えることができます。



WISC-Ⅴ検査の補助指標である認知熟達度指標(CPI)のまとめ

WISC-Ⅴ(ウィスク5)検査の補助指標である認知熟達度指標(CPI)は、子どもの処理速度とワーキングメモリ能力を評価するための重要な指標です。

認知熟達度指標(CPI)の結果を正確に読み取り、教育プランの策定、個別指導の実施、家庭でのサポートを通じて、子どもの学業成績や日常生活における認知能力を効果的に伸ばすことができます。

公認心理師や臨床心理士は、認知熟達度指標(CPI)の構成要素とその評価方法を理解し、子どもの知的発達を総合的に支援するためのスキルを身につけることが求められます。


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